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08. 侵入後 — meterpreter で何ができるか 🔓

🔊 音声で聴く

meterpreter > が出た = 侵入成功。 ここからが「ポストエクスプロイテーション(侵入後)」。侵入した的の中を調べます。


meterpreter とは

Metasploit 専用の高機能な遠隔操作エージェント。 ただのシェルより便利で、ファイル操作・権限確認・情報収集がコマンド一発でできます。


侵入先を調べる

まず「自分は誰として入れたか」。

meterpreter > getuid
Server username: root

root = 最高権限。S2-045 では的(Struts2)が root で動いていたため、脆弱性を突いた瞬間に root が取れてしまいます。これが CVSS 10.0 の意味です。

続けて、侵入先の素性・現在地を調べます。

meterpreter > sysinfo      # OS・アーキテクチャ
meterpreter > pwd          # 今どこにいるか
meterpreter > ls           # そこに何があるか
meterpreter > shell        # 通常の Linux シェルに移る(抜けは exit)

よく使うコマンドの一覧は 付録A. リファレンス にまとめています。 コマンドは meterpreter > のプロンプトで対話的に打つのが基本です。


侵入後にできることの全体像

状況把握はほんの入口。侵入後には、こう展開していきます。

flowchart LR
    A["① 状況把握<br>getuid/sysinfo"] --> B["② 権限昇格<br>一般→root"] --> C["③ 永続化<br>再侵入の仕掛け"] --> D["④ 内部偵察<br>内部ネットを見る"] --> E["⑤ 横展開<br>隣のマシンへ"]
    style A fill:#2d333b,stroke:#58a6ff,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style B fill:#2d333b,stroke:#bc8cff,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style C fill:#2d333b,stroke:#f85149,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style D fill:#2d333b,stroke:#d29922,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style E fill:#2d333b,stroke:#f85149,stroke-width:2px,color:#e6edf3
段階 何をするか
① 状況把握 誰として・どのOSに入ったか(getuid sysinfo)
② 権限昇格 一般ユーザーなら root を狙う(今回は最初から root)
③ 永続化 再起動後も入れる仕掛け(run persistence 等)
④ 内部偵察 内部から改めてネットを調べる
⑤ 横展開 侵入先を踏み台に別マシンへ(→ 次章)

💡 内部偵察が重要:侵入前の nmap は「外から見えるポート」だけ。侵入後に内部から調べると、外からは見えなかった内部サービスや隣のマシンが見えます。これが侵入の怖さです。


③ 永続化がなぜ怖いか — 脆弱性を直してもバックドアは残る

永続化(persistence)は「侵入している今のうちに、次回もまた入れる裏口(バックドア)を仕込んでおく」ことです。 ここが最も重要な洞察です。

flowchart LR
    V["① 脆弱性を突いて侵入"] --> B["② 侵入中に<br>裏口を仕込む"]
    B --> F["③ 脆弱性が修正される<br>(パッチ)"]
    F --> R["④ でも裏口は残る<br>→ まだ入れる"]
    style V fill:#2d333b,stroke:#f85149,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style B fill:#2d333b,stroke:#f85149,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style F fill:#2d333b,stroke:#3fb950,stroke-width:2px,color:#e6edf3
    style R fill:#2d333b,stroke:#f85149,stroke-width:2px,color:#e6edf3
最初の侵入口(脆弱性)────→ パッチで塞がれる → もう使えない
         ↓ でも侵入中に
裏口(バックドア)を仕込んでおく ───→ パッチ後も生きている → まだ入れる

🔑 ここが核心:攻撃者は「最初の穴(脆弱性)」とは別に裏口を作ります。 だから 脆弱性を修正(パッチ)しても、仕込まれたバックドアは残り続け、攻撃者は入り続けられる。 「脆弱性を直したから安全」とは限らない——これが永続化の本当の怖さです。

裏口の仕込み方の例:cron で定期的に自分に接続させる/SSH の鍵をこっそり追加する/Web の起動ディレクトリに再接続スクリプトを置く、など。 メタプリタの run persistence でも仕込めます(ただし的に cron/systemd 等が必要)。

🛡️ だから守る側(ブルーチーム)は、脆弱性を直すだけでなく「既に裏口が仕込まれていないか」を調べる必要があります。 その調べ方は 10. 守る側のツール へ。


おめでとうございます 🎉

ここまでで、偵察 → 攻撃 → 侵入 → 侵入後の一連を、自分の手で体験しました。 この流れは、実務のペンテストでも資格試験(eJPT / PT1 等)でも、そのまま問われる基本です。

次は 09. 横展開・内部偵察 へ。